「あの、水城さ――」
「目を見ろ、目を」
「あ、すみません」
虚を突かれたような顔をして向き直る裕晶に、水城は不安そうな表情をする。
「いや、こりゃ結構深刻な方か?だったらこれはやっぱ親父さんに……」
少し離れたところで組手を行っている裕晶の父親を見やり、そう呟く水城。
「あ、いや。そういうんじゃないんです。ただ、こういうのは初めてでってことで……」
言葉を濁し俯く裕晶だが、すぐに顔を上げ、しかし目線は合わせられずに独り言のように呟く。
「――ある人がいるんです。その人は、僕に興味をもって話し掛けてきて、話して、その人の友人、と知り合って。それで昨日はその人は来なくて、今日は朝に少しだけ話をして、それっきり――いや、それだけで――あ、えと…………話をして、終わったんです。
それが物足りなく感じて…………自分が嫌になって……嫌な奴だって……こんなこと、初めてだから、その……」
語れば語るほど嫌になる。はっきりと言葉に出すことで明確な重みをもった自己嫌悪は、裕晶の心臓に降り積もり、軋みが生じる。


