男子高校生と男子高校生もどき


しかし昨日、裕晶はゴトウと話をすることはなかった。昨日の今日だからと、裕晶はゴトウが来るものだと思い込んでいた。今朝はゴトウと会話はしたが短い会話で終わり、裕晶にとって疑問を残すものとなった。


期待外れ。そんな思いに駆られる裕晶だが、同時に気がついた。


なんて自分勝手なのだろう、と。


自分から人との繋がりを断ち、友人というものを作らなかった。それはいい。裕晶が望んでいたことだから。だが、ゴトウとは――。


考えた時に、今まで保ち続けてきたものが崩壊しそうな予感がした。それは他人から見るととるに足らないものであろうが、裕晶にとっては自身が築き上げたもので、今更手放すことなど出来ない。


自分からは関わらないようにし、向こうが来た時に話をする。それが、傲慢な態度であると自覚した。


そもそも普段ゴトウがどこにいるのか判らない裕晶にとっては、受け身になってしまうのは当然のこと。しかしその理由があって思いは変わらない。


ただただ裕晶は、苛立ちの消化を行う。