「――――ッ!?」
目も開けられない強風が吹き荒れ、ゴトウは腕で顔を覆う。そして荒れ狂う風が止んだ時、少年の姿はなかった。
してやられてしまった。
校内を検索するが、少年を見付けることが出来ない。目を離したのはほんの僅かなことで、その間に校外へ出たとは考えられない。
だが、先程少年がしたことを考えると、足を使ってこの場を立ち去っただけではないだろう。
「説明ぐらいしてくれたっていいと思うんだがなぁ」
座敷童子という神秘的な存在として、少年が"不可思議な術"を使ったことは当然のように受け入れる。問題は、彼が何者かということについて。
「こりゃ、想像以上に厄介なことになってる……ってことか?」
苦笑いをするゴトウは、未だ止まない雨を窓越しに見詰める。


