「その前に、あなたが私のことを知ったとして、その事実はどのようにするつもりですか」
「ん?そりゃ友達にこんな奴がいたーって言いふらすかな。この異変に関して説明するって約束してるし、もし関係なくても世間話で話てぇし」
言外に少年に対する疑念と不審を滲ませるゴトウに対し、穏やかな表情を変えぬまま少年は言葉を返す。
「でしたら、お答えしかねます」
「はあ?」
「"私達"は規律を重視します。この場合の規律とは、これ即ち隠匿。その規律を乱すと明言する方に対してはものを言うつもりはありません」
「だったら質問の仕方が悪ぃな。秘密にしろってぇなら、さっき言った友人にはちゃんと口止めするって付け足すぞ」
あっけらかんと述べるゴトウに、少年は微かに眉を寄せたがすぐに霧散した。
「ならば、変わらないことです。規律は守られない。それでしたらやはり、説明は出来ません」


