「あー、話通じるよな。今そこめっちゃ気になるんだけど、俺の話してる意味判るよな」
「ええ、その点はご心配なく。先程のはただの挨拶です。――あなたとのお話ですが、私からはあなたに語ることはありません。ですから、あなたの話を聞き、それに答えるという形になりますが、それでよろしいでしょうか」
「それは助かる。俺としちゃ、一方的に用件を言って答えてくれれば充分だからよ」
一人称が『私』であることもそうだが、少年の纏う雰囲気は高校生のそれとは思えない。腹を探っているのは自分だけなのかと思うほど、目の前の少年は自然体のまま。
お互いが口だけの笑みを浮かべているが、片方は努めて明るく、片方は静かに佇んでいる。
一呼吸おいて、一度目を瞑る。そしてゴトウは目を開けると同時に、優しげな、しかし鋭い眼差しの笑みを顔に張り付けて言った。
「ま、本題に入ろうか」


