男子高校生と男子高校生もどき

《瑚堂学園 放課後》


外は相変わらず雨が降りしきり、薄暗い空間が広がっている。人気のない場所では雨粒が地面や建物にぶつかる音が鳴り響く。


そんな雨音を心地よく思うか、雨そのものを鬱陶しく思うかは人それぞれであるが、学校に通う生徒達にとっては、そもそもあまり気にするものではないのだろう。


「ホントさ、遠野先輩ってなんか不気味じゃない?薄ら笑いっていうの?何かこっち見てきてマジキモい」


「しょうがなくない?あの人いつもあんな感じじゃん。でもキレると超ヤバイって話あるよ?」


「え?あの人キレたりするの?」


二階の渡り廊下を歩く二人の女子生徒。美術部員の彼女達はこの日の活動を終え、帰宅するところだ。その間に無言でいることはほとんどなく、常に会話が続く状態である。


彼女達の進む先には、窓際に立ち外を見詰める男子生徒と、数メートル先を同じ方向へ歩く男子生徒がいる。別段気にすることの変わった様子はない。



それでも、昨日から起きている変化、もしくは異変ともいうべきものは、彼女達にも確実に迫っている。