急に怒り出した蒲生は、落ち着いた後に要領を得ない発言をした。それは多少は気になることではあるかもしれない。だがあれは、日常の中の滅多に起こらない程度の出来事に過ぎないのではないか。
話す前に尋ねる理由を知りたいと思った裕晶だが、その前にゴトウが質問を繰り出す。
「お前にとって、蒲生の印象ってのはどんなもんだ」
「どうって……普通っていうかさ、いつも友達と一緒にいて……まあ虐めに遭ったりしたりするような感じはないね。強請されたら別だろうけどさ。……でもあんな風に怒るとは思わなかった、て感じかな。話したことないからさ、よく判らない」
「そうか。いや、だろうな。俺から見てもそんな感じだ。――となると」
裕晶の言葉に納得はしているようだが、何か考えることがあるようだ。
本当に何なんだ。
裕晶はゴトウの様子を見て思う。昨日の出来事はそんなにおかしなことだったのか。ゴトウの事情を知らない裕晶は、考え込む彼を見て不安になる。


