《6月11日 瑚堂学園 一年三組》
教室の電気が点いていても、活気ある声が満ちていても、薄暗さは一向に掻き消えない。鉛色の空が、雨粒を止めどなく落としている。今日は一日中傘マークの予報だ。
朝のHRが始まる前、読書をしている裕晶の元に、ゴトウがやって来た。
「一昨日ぶりだな。元気にしてたか」
「え?まあ、それなりに」
ゴトウの軽い挨拶に何の気なしに答える裕晶は、表面上はそれと判らないが、浮かない気持ちでいた。それに気付かないゴトウは、彼らしい強引さでもって一方的に話を切り出す。
「ところでなんだが、裕晶。ちょっと、昨日のことについて話訊かせてもらえないか?」
「昨日のことって……」
「蒲生、いるだろ?昼休みにぶちギレてた」
「ああ、そのこと」
ゴトウの言うことが、昨日の昼休みに起きた騒動のことであると理解した。だがそれと同時に、なぜそのことをわざわざ訊こうとするのだろうかという疑問が生じる。
教室の電気が点いていても、活気ある声が満ちていても、薄暗さは一向に掻き消えない。鉛色の空が、雨粒を止めどなく落としている。今日は一日中傘マークの予報だ。
朝のHRが始まる前、読書をしている裕晶の元に、ゴトウがやって来た。
「一昨日ぶりだな。元気にしてたか」
「え?まあ、それなりに」
ゴトウの軽い挨拶に何の気なしに答える裕晶は、表面上はそれと判らないが、浮かない気持ちでいた。それに気付かないゴトウは、彼らしい強引さでもって一方的に話を切り出す。
「ところでなんだが、裕晶。ちょっと、昨日のことについて話訊かせてもらえないか?」
「昨日のことって……」
「蒲生、いるだろ?昼休みにぶちギレてた」
「ああ、そのこと」
ゴトウの言うことが、昨日の昼休みに起きた騒動のことであると理解した。だがそれと同時に、なぜそのことをわざわざ訊こうとするのだろうかという疑問が生じる。


