《瑚堂学園 三年一組》
それは、放課後の部活動中に起こった出来事だった。
コンクールが近いと張り切る吹奏楽部は、担当する楽器ごとに別れてそれぞれ練習をしていた。
普段は楽器の音が鳴り響くその教室。しかし、今日その時は、一人の女子生徒の怒声が響くことになった。
「やる気ねぇんだったら出てけっつーのッ」
乱暴な口調で言ったのは、パートリーダーでもある三年生の女子生徒だった。
彼女は、練習中に余所見をしていた後輩を叱りつけたのであるが、余所見といっても彼女が前に立ちアドバイスをしていた時に、視線を一瞬廊下に向けただけのこと。それに対しての反応としては、異常にも思える。
それでも彼女を咎める声がなかったのは、その後輩がお調子者と呼ばれる性格で、真剣な場面でも軽薄な笑みを浮かべるような男子であったことが原因の一つである。
「すみません」と謝った男子生徒。しかし、彼女は一言の謝罪だけでは溜飲が下がらなかった。机の上に広げていたファイルを、その後輩に向かって投げつけるという暴挙に出たのである。
それは、放課後の部活動中に起こった出来事だった。
コンクールが近いと張り切る吹奏楽部は、担当する楽器ごとに別れてそれぞれ練習をしていた。
普段は楽器の音が鳴り響くその教室。しかし、今日その時は、一人の女子生徒の怒声が響くことになった。
「やる気ねぇんだったら出てけっつーのッ」
乱暴な口調で言ったのは、パートリーダーでもある三年生の女子生徒だった。
彼女は、練習中に余所見をしていた後輩を叱りつけたのであるが、余所見といっても彼女が前に立ちアドバイスをしていた時に、視線を一瞬廊下に向けただけのこと。それに対しての反応としては、異常にも思える。
それでも彼女を咎める声がなかったのは、その後輩がお調子者と呼ばれる性格で、真剣な場面でも軽薄な笑みを浮かべるような男子であったことが原因の一つである。
「すみません」と謝った男子生徒。しかし、彼女は一言の謝罪だけでは溜飲が下がらなかった。机の上に広げていたファイルを、その後輩に向かって投げつけるという暴挙に出たのである。


