男子高校生と男子高校生もどき

《瑚堂学園 一年三組》


昼休みに、裕晶がいる教室で騒動があった。


「何言ってんだてめぇッ、ざけんなよッ‼」


突如響く罵声と、椅子が倒れた音。裕晶の隣の席で起こった出来事だった。


裕晶は勿論、今教室にいる全員がその方向を見る。


「は？なんつった？馬鹿にすんのも大概にしろよ」


「ちょっと待てよ。何だよいきなり……」


ことの切っ掛けが何かは判らない程に、唐突だった。


裕晶の隣に座っていた男子生徒は、友人二人と一緒に話をしながら食事をとっていた。すぐ傍のことなので、彼等の会話は裕晶の耳にも入っていたが、その中には人を激怒させるようなものはなかったはず。


強いて言うなら、相手をからかうような発言があったかことだろうが、それは気心の知れた友人同士で可能なただの掛け合いであったはずだ。