「うっせぇんだって言ってんだよ、黙ってろ」


「は?何言ってんだ?何でそんなにキレてんだよ」


不機嫌な声を出す男子生徒は、持っていたシャープペンシルを机に叩き付けるようにして置き、後ろの机を倒そうとするかのような勢いで立ち上がる。


その動作でさらに注目を集め、ついにはクラス中の視線を集めた男子生徒。


「だたらうっせぇつってんだよ、聞こえてねぇのかよ」


「いや、うっせぇって、俺等普通に話してただけで」


「だからそれがうるせえつってんだよ、判んねぇのかよ」


「いや判んねぇ、てか何でキレてんだ?」


声を荒げる男子生徒を前に、周りの生徒達は戸惑いを隠せない。彼は話し声がうるさいと言っているが、うるさくしている覚えはない。むしろ、いつもと何も変わりはない。


彼が宿題をまだ終わらせていないから気が立っているのか。いや、褒められたことではないが、宿題を終わらせていないというのは彼にとって日常茶飯事のこと。いつも通りの出来事と言って良かった。


だから、どうして彼がこんなにも怒っているのか、その原因が判らないのだ。