「てかお前どういうつもりだ、えぇ?ただじゃおかねぇぞおい」
一人は裕晶に怒りの矛先を向け、今にも掴みかかろうとする態度だ。
「あ、そいつは長谷部な。んで裕晶が蹴ったのは熊崎って奴で、残りは安東」
騒ぎのすぐ近くにいるのに、まるで高みの見物を約束されたかのように自然体で話すゴトウ。
安東はゴトウに「残り」と雑に言われたことにも衝撃を受けたのか、「は?残り?いやちょッ」などと言い、心の整理がついていない様子だ。
明のクラスメイトだという熊崎は、口許を覆う手の隙間から血を流している。鼻血らしい。鼻血とはいえ流血沙汰になったことに一瞬裕晶は後悔したが、すぐに気を取り直した。
相手は下級生に因縁をつけて金をせびろうとしたのだ。情けは無用である。


