他のクラスメイトは良くも悪くも何もせず、傍観者に徹していた。今時、虐めは駄目だと言える生徒はそうそういない。
自分が被害者になる可能性が少しでもあるならば、代わりに誰かがいればいい。だから、何もせずにいる方が得策である。
虐めはただ黙って見ている方も悪いともいうが、実際はそれしかしない、出来ないというのが現状である。仕方がないことだと、裕晶もそう思っている。だから恨みはない。
以前の経験から、裕晶は虐めに関しては教師を信頼していない。行動を起こすとすれば、自分で始末をつけるという心意気だ。実際、そうしてきた。
裕晶は財布とスマホは常に身に付けるようにしている。被害があってからは遅いと考え、財布は小銭入れにして必要最低限の分を入れ、持ち運びを容易にするよう工夫した。
今はまだ、持ち物に被害が出たり、暴力を振るわれたりということはない。いつか起こるかもしれないと、思うことはある。
そして、その時は訪れた。


