男子高校生と男子高校生もどき


「そういえば遠野さん、放課後って図書委員は一人だけなんですか?」


さりげなく話題を変えた。裕晶としては、少し気になっていたことをせっかくだからという気持ちで訊いたことであるが、そこにそれ以外の思いはなかったと断言は出来ない。


「いや、一応もう一人いるんだけど、来ないんだ。サボり。まあ元から一人いれば充分な仕事で、俺からも無理して来なくていいって言ってたから。それより、せっかくだし先輩って呼んでくれないかな、立岡君」


「あ、判りました」


先輩、と続けないところに裕晶の性格は現れたといってもいい。


「これで二人の仲も深まったってことか?良かったじゃん。裕晶には初めての先輩が、明には普通に話せる後輩が出来たってことで。てことでそろそろ図書室閉めるか?」


何が「てことで」かは判らないが、図書室は通常17時まで開いており、今はあと数分で17時になろうとしているところだ。丁度いいタイミングではある。