男子高校生と男子高校生もどき


「あー成る程。そういやお前って休み時間はずっと小説読んでるもんな。推理小説系?――そりゃそういう話題選ぶわな。うん、でもアウト。ねぇな。 それと、もし明がそういう話苦手だったとしたらどうするよ。そりゃまあ苦手そうには見えねぇけどな、もしもの話だ」


「あ、そうだね――いや、でもそれ言ったら何も話せないじゃん。誰がどんな話題を苦手とするかなんて初対面じゃ判らないんだから」


「いや、だから無難なのを言えばいいだろ。好きな食べ物とか趣味とか」


「考えたけどさ、答えによっては『そうなんですか』で終わるかもしれないって思って。あと、どうせだったら僕の興味がある話をしたかった」


「……結論、裕晶の協調性はゼロ。――相手のことを考えたらどうだ?」


「え、でもみんな、自分が話したいこと話すもんでしょ?」


不毛の言い争いである。ゴトウが言っていることはよく判るが、ずっとそうしていたのだから、自分の意見は曲げられない。