「史倉市で起きてる連続殺傷事件について、遠野さんはどう思います?」
「そうだね――」
「アウト」
明の声に被せるようにして、ゴトウは呆れたというように淡々と判定する。
「いやいやいや。何でそれ?どうしてそんな話になるんだ?」
「色々考えて、この話だったらいけるかなって」
裕晶が話の種にしようとしたのは、春先から史倉市で起き、未だ解決されていない事件。被害者は所謂悪党で、チンピラだったりグレーゾーンを渡り歩く人物。そのため、犯人はダークヒーローとして扱われることもある。
反抗時刻は深夜で目撃証言は少なく、解決の目処は立っていないそう。
犯人は刀を使っている――という真偽不明の話があり、一部の雑誌では現代の人斬り事件として取り扱われている。
そんな、推理小説のような話に裕晶は関心をもっていた。
世間に公表されていない――例えば同一人物である証となるようなメッセージがあるかもしれないと、不謹慎ながらも色々考えてしまう。
この話題ならば自分の意見もあり、相手も知っているであろう話題だから、会話が出来る。そう考えてのことだったのだが。


