裕晶は目を瞑り、ゆっくりと息を吐く。それが話の区切りとなったように、ゴトウは話を展開する。
「そうそう。言っとくけど、俺と『瑚堂の座敷童子』っつう怪談はイコールじゃねぇよ。最初はともかく、今じゃ"怪談は既に、俺から離れてる"んだ」
「どういうこと?」
説明の続きであろうその言葉は、裕晶にとって予期しないものだった。ゴトウは『瑚堂の座敷童子』そのものではないのか。
「怪談は、俺がいるから出来た。まず、それは間違いねぇ。余所では知らんが、瑚堂(ここ)では事実から話が出来た。だから、原点っつうの?それは俺って言っていい。
それでも、その話――怪談の内容なんだが、それはもう、あれだろ?よくあるのと変わんねぇだろ。単なる数え間違いレベルの」
それは裕晶も感じている。ゴトウという存在を目の前にしたからこそ、改めて強く思う。


