男子高校生と男子高校生もどき


「誰が増えたのか気付かないのは、その誰かに疑問をもたないから。いて当たり前の存在だと、無自覚のうちに理解してしまうから。裕晶は学校にいるのだから、俺がいるのは当たり前のこと。座敷童子ってのは、そんな存在なんだ。

まあ、俺から話し掛けたってことでその特性は薄れて、裕晶が学校を出たことによって、完全にかき消えたがな。その時点で俺は、いきなり話し掛けてきた男子生徒としか思えなくなってしまう。裕晶が疑問に思えるようになったのって、学校出たからだったろ?」


その通りだったので、頷いた。


「まあ、俺をはっきりくっきり認識した今となっては、裕晶の前じゃ俺の特性はないも同然だ。知ったんだから。例えば廊下で擦れ違ったら、普通に気付くようになる。

ま、こんなところだな。何か質問あるか?」


「…………いや」


そんなことを言われても、そもそも質問内容を考えるほどの余裕がない。裕晶は脳の許容範囲を拡張中である。