裕晶にとって一番馴染みのある座敷童子といえば、瑚堂学園に存在する学校の怪談、『瑚堂の座敷童子』である。
一度会話に上っただけで、しばらくすると誰もその話はしなくる、その程度の話。常識的に考えればあり得ない、非現実的な話でしかない。元から裕晶は、その怪談は信じてなどいなかった。
しかし。
昨日ゴトウに会った時に生じた衝撃は、今も裕晶の中に残っている。名前を聞き忘れた、というのではなく、考えもつかなかったという圧倒的な不自然さを残す事柄。
その理由も、ゴトウは説明出来るというのか。ここにきて、裕晶はその疑問を『うっかり』で済ますつもりはない。
「廊下でんな話すんのもアレだろ?後でちゃんとしっかりみっちり満足いくであろう説明すっから。まあ待ってくれや」
そう言われてしまえば、裕晶としては待つしかない。今度はゴトウが先に歩き出した、裕晶は少し駆け足でゴトウの横に並び、それから歩幅を合わせた。


