「………………」
「………………」
裕晶は、彼――ゴトウの発言を聞いても口を閉ざしたままで、しかし歩みは止めない。裕晶の内にある感情や思考はどうなのか、その表情は変わることがない。
対してゴトウはというと、今しがたの発言を省みることもなく、先程と変わらない笑みを浮かべている。
「………………はあ?」
ゴトウが放った言葉の意味を咀嚼し、沈黙を打ち破った第一声がそれだった。その言葉に含まれる意味は、困惑やら苛立ちやら疑問やら。色々な意味が込められたそれは、しかしその一言だけでは全て彼には伝わらない。
裕晶は思いを告げたと同時に立ち止まる。歩きながら話せるような内容ではない。ゴトウは裕晶から数歩先で立ち止まり、振り返って裕晶を見る。
「ほら、あれだ。座敷童子が種族名で、ゴトウが個人名な。裕晶の場合だと、人間・立岡裕晶って感じだ」
「…………はあ」
そこじゃない。


