男子高校生と男子高校生もどき



そこから、裕晶は何か恐ろしいものに自分の思考を塗り潰されたかのような錯覚を感じながら、考えを纏めた。



なぜ名前を訊こうとしなかったのか、ではない。



"何者か知らない男子生徒から、名前を訊こうという考えが一度も浮かばなかった"自分がいた。



その事実に気が付いた裕晶は、自分自身に懐疑を抱いた。


僕がおかしかった?いや、でも。誰だったんだ?どうして最初に訊かなかった?普通はそうした、はず。うん、そうだ。――じゃあどうして、さっきは。忘れてた?そんなはずは――。


自分の考えに自信がもてず、答えを探し選び取ることが出来ない。堂々巡りに陥ってしまう。


突っ立ったままの裕晶の傍を、生徒達が通り過ぎる。それを視認したら、夢から現実に引き戻されたような感覚があった。裕晶は一息つき、歩き出した。


答えは決めた。


明日、来ると言っていた。ならば、明日まで待とう。



始めてだ。こんなにも明日が待ち遠しいのは。