男子高校生と男子高校生もどき


「てかもう玄関か。んじゃまた明日、裕晶んとこ来るから、そん時詳しい話訊かせてもらうわ。じゃあな」


「え?」


言葉の通り既に二人は玄関に辿り着いており、そして彼は別れの言葉を残して立ち去ろうとする。


最初に『玄関まで』と言っていたのでここで別れるのは構わないが、いくら何でも唐突ではないだろうか。


別れの言葉をあっさりと告げた男子生徒は、あっさりとその場を後にする。裕晶が声を上げ振り返った時には、彼の姿は下足箱に遮られて既に見えなくなっていた。


代わりに何人かの生徒が歩いているだけで、一瞬のような出来事は裕晶に実感というものを残さない。自分は何をしたのだろうか。会話をしたのだが、そんな感覚は残らない。まるで夢の中で誰かと会話をしたかのような気分だ。


少しの間裕晶は彼が立ち去った方向を見ていたが、走って追い掛けるようなことではないと判断し、靴を履き替え外へと向かう。