彼は髪を茶色に染め、左耳にはイヤーカフを付けている。右手首にはブレスレットという、チャラチャラした不良のよう。だが、制服は真面目に着こなしており、どこかアンバランスな印象を感じさせる。
「知ってるぞ。今日の昼休みにお前がやったこと」
「そうなんだ」
やはりそのことかと納得する。そうでなければわざわざ裕晶に話し掛けようとしないだろう。
クラスメイトら聞いたのだろうか。口止めをしている訳でもないし、むしろ話の種になることだろう。
「初めてだったな。あんな風にやり返した奴。今まで何度か虐めってのは見てきたが」
「そう」
気の抜けた相槌ばかりだが、裕晶にはそれしか反応が出来ない。にしても、この学校は虐めが多いのだろうか。彼の言い方だとそのように聞こえる。
「ま、とにかく。もう少しお前と話してみたいし訊きてぇこともあるしな、明日また行くからよ、よろしくな」
「はあ?」
流石に勝手が過ぎるのではないだろうかと、思わず語気を荒げる裕晶。しかし相手は、最初に見た時から変わらない笑みを浮かべている。


