男子高校生と男子高校生もどき


「こんなこと言うのもなんだけど、立岡君に関してはあまり気にしなくてもいいのかな」


「気にしないってか、虐められてることに関しては、まあ心配いらないと思う」


そこで会話が一度途切れた。この話はもうおしまい、そんな意味の区切りをつけるためだったのか、次の瞬間には新たな話題が提示される。


「あ、そうだ、昨日の『波紋』さぁ、見た?」


「あッ見た見た。凄く良かったよね。てかあのキスシーンヤバかった」


「だよね、マジヤバかった」


先刻まで大人しかった陽菜だが、話を聞いてもらえたことによって気が楽になったのか、その話題が合っていたのか、積極的に会話に参加した。


それからは女子高生らしいトークを繰り広げ、彼女達は日常を過ごしていた。



教室に戻った彼女達が昼休みの出来事を聞いたのは、それから数十分後のことだった。裕晶が被害者から加害者となった時、正にその話をしていたことを知った彼女達は、何とも言えぬ表情をしたという。