男子高校生と男子高校生もどき


彼は、怒りに満ち溢れていた。


ほんの数分前まで裕晶を見下していた彼。散々馬鹿にしてきたその対象に、彼は呆気なく叩きのめされた。


その事実がどうしようもないほどに怒りを煮えたぎらせる。


"どうしてあの程度のことで、自分がこんな目に遭わなければならないのか"。


自分には何の非もないと思える大野の心理はどんなものなのか。自業自得でしかないというのに、彼は裕晶に全ての責任があると考える。


裕晶が悪い、だから、俺は怒る。


根本から間違っているのだが、大野はそれに気付くことはない。


「――――この……」


状況を理解している生徒達はがざわめき、裕晶にも背後の異変は感じ取れた。作業を中断し振り向く裕晶は、怒気を爆発させるかのような形相をした大野と目が合う。


大野が椅子を裕晶の図上に振り落とそうとするその前に、裕晶は持っていた物を床に放り投げ、大野の腹に回し蹴りを食らわす。同時に、裕晶の右手は椅子の脚をしっかり掴み、椅子が落下するのを防ぐ。


椅子から手を離して大野は背中から倒れる。そんな彼に、裕晶は冷酷に罰を下した。