「……それが、言いたかったことか?」
「そうなのかな」
これが正解なのかは、裕晶にも判らない。ただ、言いたかっただけで、裕晶の出した答えだ。
「へぇ」
裕晶のそんな反応で、途端にニヤリという表情に落ち着いた。
「かったいねぇ、裕晶君よぉ。別にんなことわざわざ言うことじゃねぇだろ。てかんな台詞、そんな顔で言うものか?」
相も変わらず無表情。照れ臭いとか気まずいとか、そういったことは一切なく、自然に言っただけなのだが、それが裕晶のいつも通りに結び付く。
簡単なことだった。忘れていただけで、本当は、この程度で良かったのだ。
これからも裕晶は、休み時間や移動教室の際には一人でいるだろうし、班決めの時には余る一人となるだろう。
それでも裕晶には話し相手がいる。世間話をして、たまに頼み事したりされたりと、そんな関係の相手が。
あと数歩で校門を出るその時、「じゃあな」とゴトウが片手を上げる。
裕晶は、「それじゃあ」と同じく片手を上げて、一言言葉を付け足す。
「また明日」
この日は、平穏な一日だった。


