男子高校生と男子高校生もどき

《瑚堂学園 放課後》


「ゴトウ」


「お、呼んだか?」


ポツリと、しかし側にいる人には聞こえる程度の声量で呟いた。その言葉に反応したゴトウは、裕晶の隣に立っていた。


正面ではなかったが、確実に視界に入っている場所。そこに忽然と現れたゴトウ。最初からそこにいたかのような存在感は、自然に受け入れられる。


「瞬間移動?」


「みてぇなもんかな。俺は瑚堂学園(ここ)のどこにでもいるから、でもこの体は一つだけ。となると、そうなるしかないんだよな」


「そっか」


「んで、どうした?」


「説明は終わったの?」


「なんとか」


「……あのさ、朝からゴトウ何か言おうと思ってたんだけど、忘れて思い出せなくて。……ゴトウの顔を見れば、思い出せるかなと思ってさ」


この言葉には嘘が混じっている。言いたいことがあるのは確かだが、忘れたのではない。何を言えばいいのか――自分の思いをどうやって伝えればいいのか判らない、というのが正しい。


昼休みになってすぐの時には、裕晶から話を持ち掛ける時間はなかった。だから今ゴトウに会って、そこで言葉を見付けたいと、そう考えたのだ。