男子高校生と男子高校生もどき


「違います。あれは、尤も効率の良い行動をとった結果です。

『通り者』は視認は出来ても、接触は出来ません。実態のないものですから。だから、『通り者』が誰かの中にいる時が、一番の好機でした。

――ちなみに、『通り者』を内から追い出す方法ですが、それは簡単なことです。怒気に支配されたならば、それ以外の感情をもつこと。不意をつき、感情のリセットを図ればいいのです」


裕晶は蒲生の件を思い出す。裕晶が横から筆箱を投げ付けた後、彼は落ち着きを取り戻した。『通り者』を追い出すには、十分効果があったようだ。


「座敷童子の意識に入った『通り者』ですが、支配は出来なかったようですね。『通り者』の退治としては、よい機会が巡って来ました。一度、座敷童子ごと退治することで、『通り者』の退治を難なく行うことが出来ました。

勿論、座敷童子を退治することは実際には不可能です。いくら男子高校生の姿をしていても、あなたは瑚堂学園の生徒ではなく、座敷童子なのですから」


「てぇことは、俺は上手く使われたってことか?あん時俺から見たら、お前はいきなり現れた感じだったしな。俺に見付かるように術を解いたって訳か」


背凭れにふんぞり返るような姿勢でゴトウが言う。久方は無言だが、ゴトウはそれを肯定と受け取った。