いや、立ち止まっている場合ではない。
一瞬の判断だった。裕晶は迷う暇もなく数歩踏み込んで、跳んだ。少年が慌てて手を動かしたが、何かをさせる前に裕晶はラリアットの要領で少年を押し倒した。
両足を使ってしゃがむように着地した裕晶と、後頭部から背中を床に打ち付けた少年。ここで一応の冷静を取り戻した裕晶は少年の腕を取り関節を極め、身動きを封じる。
「……あなた、無茶が過ぎませんか――?」
「うるさい。取り敢えず説明して」
「ええ、ですから最初に、そうしようとしたのですが」
そう言われ、少年を組み伏せて余裕が生まれた裕晶は、落ち着いて少し考えてみた。確かに少年は何か言おうとしていたのだが、興奮状態であった裕晶はとにかく少年を叩きのめそうとしていた。
「ごめんなさい」
取り敢えず謝った。落ち着いた行動を取ることが重要だと、痛感した。


