後ろにいる存在に気付かない二年生の怒鳴り声を、どこか遠くから聞いているような感覚の中、裕晶は"彼に話し掛けた"。
「ゴトウ」
相手の名前だけ。しかしすぐに反応が返ってきた。
「どうした?裕晶……って聞くまでもねえな。どんな仕掛けか知らねぇが"急に現れやがって"。やっと見付けたぞ、お前。さあ早速話してもらおうか」
ガシリと少年の肩を掴み、前半を裕晶に、後半をその少年に向かって言ったゴトウ。途中奇妙なことを言っていたが、そんなことを口に出す場面ではない。
先程まで怒鳴り散らしていた男子生徒は、いつの間にか自分の後ろに二人もいたことに驚いている。だが、それよりも驚くべきことが引き起こる。
「驚きがあると、身動きが取れない」
ゴトウを無視し、粛々と述べる少年は、呆然としたままの男子生徒の首に、手にした紙――札を貼り付ける。
そして、事態は加速する。


