ゴトウからは無理をしない程度にと言われているし、そもそも自分が簡単に見付けられるとは思っていない。
階段を下りて踊り場に立った時、階段を上がってきた男子生徒とかち合った。どちらも内側の方を歩いており、裕晶は自然に外側に寄って歩こうとしたのだが。
「邪魔だっつーのッ」
お互いが一瞬立ち止まったその時に、裕晶はその言葉を浴びせられ、ドンと胸を押された。咄嗟のことで、しかも相手は体格がよく強い力だった。結果裕晶はその力を受けて階段に座り込む形となった。
意味が判らない。自分は何か気の障ることをしたのかと思う前に怒りが沸き上がる。
「あ"?何?」
不機嫌さを言外に滲ませながら立ち上がる。見掛けからは想像出来ないが、裕晶は短気な性分だ。今のように手を出された場合には特に。
「だから邪魔だっつってんだろうが」
「そんなの知らない。お互い様じゃん」
学年色のズックで男子生徒は二年生だと判るが、裕晶は敬語を使わなかった。言い掛かりにも程がある理由で絡んで来た相手に敬語を使う気にはならなかった。


