男子高校生と男子高校生もどき

《瑚堂学園 放課後 廊下》


帰りのHRが終わった今、裕晶は玄関とは真逆の方向に向かって歩いていた。


普段はすぐに家へと帰る裕晶がそのようなことをしているのは、ゴトウに人探しを頼まれたからではなく、単に忘れ物をしてしまったからだ。


帰り支度をしている時に下敷きがないことに気が付いた。教科書やノートに挟まっているわけではないことを確認した裕晶は、それを探すために科学室へと向かった。六時間目の授業はそこで行ったため、そこに忘れていったのではないかと考えたからだ。


放課後は科学部が活動しているその教室に、事情を話して入り、使った席を探すとそれは難なく見付かった。


一安心し、これで帰れると裕晶は今度は玄関へと向かう。真っ直ぐ家に帰るために。


ゴトウの頼みを無視している訳ではなく、裕晶も視界に映る人とゴトウが述べた特徴と照らし合わせながら見てはいる。あくまで、自分が普段の日常の中で出来ることの中に組み込んでいる。