男子高校生と男子高校生もどき


「立岡君のことで、さ」


その名前で、皆「あぁ」と言いながら前のめりになっていた身体を起こす。


彼女達は立岡裕晶のクラスメイトだ。彼と交流がある訳でもなく、ましてや虐めに加担することもない、ただの傍観者に徹する者達だ。


授業が終わって教室に戻って来た時、彼女達は裕晶のバッグの中に弁当の中身をぶちまけ、水筒に何かを入れる男子四人を目撃した。


しかし、傍観者は干渉しない。


止める勇気がなかったというよりは、感情が湧かなかったと言った方が的確だ。裕晶に対しての憐憫はあったが、だからどうだという話だ。


彼女達にとって、裕晶は哀れみの対象である。強者に捧げられる弱者。見下しているというほど露骨ではないが、少なくとも自分達の下にいる存在として見ている。


虐められるのが嫌だったら、担任の教師や親に言えばいいのにと考える。


彼女達にとって、他のクラスメイトにとって、立岡裕晶の身に起こっていることは他人事だ。