「……お前、すごいな……。」 「あの人は優しい人だよ。今日もおまけしてくれた!」 ヒトの世界では丁はまるでヒトのようだった。 丙は昨日、自分の親もヒトに殺されたと言っていた。 親を殺されたのに……。 どうしてこいつは……。 日が暮れ、洞窟に戻る頃には二人とも狼になっていた。 丙も丁も真っ白で美しい毛だった。 「ただいま!お姉ちゃん!」 「おかえり。丁、志木。」 丙が火を焚いていた。 今まで経験したことがないくらい、温かくて、家族というぬるま湯にいつまでもつかっていたいと思った。