「…………んへ?」
わ、笑った?笑っているのか、北條くんが。いや、どう見ても笑ってるんだけどね。
だけど、だけど笑ってるのなんて初めて見たんですけど!
いやさっきから本気でわけが分からないんだってば!
「焦りすぎだろ…っ」
う、美しい…。
大きな瞳がフッと細められて、形のいい唇が綺麗な弧を描いていて。
いつもはツンツンした短めの黒髪も汗のせいか、しんなりとしていて何だか色っぽい。
やっぱり、カッコイイ…。
でも、こんな風に笑えるなら普段から笑えばいいのに。
そしたら毎日きっと、楽しくなると思うし、皆の誤解も解けるのに…。
「突然難しそうな顔して、どうしたんだ?」

![[短編]初恋を終わらせる日。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.763/img/book/genre1.png)