他の部員にディフェンスと、さっき行雲がやってのけたリバウンドを練習させる、とボールを所定の位置から受け取り、シュートを打つ男。



しなやかに膝でバネを作る脚、添えられただけの左手。無駄のないスッキリしたスマート且つ、研ぎ澄まされた美しいフォームで放たれるワンショット。



……………スパッ!



それは、まるでゴールの方がボールを吸い寄せるように引き込み、ゴールネットをかする音だけが響く。



キュッ…………!



「きゃーっ!冷泉先輩ィィ!」



顎まで垂れる長めの前髪を携えた、艶やかな黒髪を白のヘアバンドで固定させ、スッと通った鼻筋を持ち、少しつり上がった猫のような目と、細く整った眉、あまり笑うことのない薄い唇。



冷泉秀吉…………バスケ部主将、クールで綺麗な顔の男が、私の悩みの種だった。