最後の夏休み Last Summer Days.

あの『場所』に近付くにつれて口数の減っていくアタシの隣にマユカはいてくれた。



「もう少しで着くからがんばって。マユカ」



出会ったばかりだけど、アタシにはもったいないくらいの親友。



「そのカレは、もしかしてサーファー?」



心から感謝しているのに、今まで話せなかったこと。



「そんなんじゃないよ」



駅から線路沿いを歩いていくと、住宅を縫うように石の階段があって、



「―――彼はね、小説家だったんだ………」



その階段を昇っていくと、



「小説家? ケータイ小説家?」



見える白い壁のアパート。



「ううん」



夕日がキレイな二階の角部屋。



「アタシの小説家」