最後の夏休み Last Summer Days.

砂浜にアタシ達は帰ってきた。



彼はそのままあお向けに倒れ込む。



アタシは砂に手をついたまま、ずっと咳き込んでいた。



「………マジありえねえ」



肩で息をしながら吐き捨てるように言った。



「どうせ死ぬなら………誰も見てないところで死ねよ。



目の前でやられたら後味ワリーだろ」



彼は雲一つない青くて暗い夜の空の月を見ていた。



「………そだね。ごめん………」



あの時の小説家も同じことを思っていただろうか。



アタシにそう言ってたら、きっとアタシはあの部屋にはいなかった。



2年前も、今も。