最後の夏休み Last Summer Days.

「カレって、前にも話してくれたヒトだったんだね」



サエコさんが帰るとベッドにすわっていたマユカが窓際に立った。



「そのヒトがいたからカニクリは小説を書いたんだよね?」



「そうだよ。アタシを救ってくれたヒト」



「そのヒトが今のカニクリにしてくれたんだね?」



「うん」



窓から見える海に人影。



「あれから2年も経ったんだね」



「話してよ。アタシが知らないカニクリのこと」



「もちろん」



浜辺で若いカップルが波と遊んでいる。



他人から見たら、ウチらもそう見えたのかもしれない。