最後の夏休み Last Summer Days.

「家賃はその時に1年分振り込んでいったから、あと1ヶ月はアイツの部屋だよ。



そのあとどうするか聞きたいんだけど連絡つかないんだよね」



アタシ達は部屋に入っていくサエコさんに続いた。



「カニクリはアイツが何してるか知らないの?」



アタシは海の見えるベランダの窓を開ける。



「はい。連絡はしない約束だったんです」



部屋から見える風景も、本棚も、パソコンも、キッチンも、ベッドも、あの頃のまま。



「そっかぁ。どうするかなぁ」



何も変わっていないのに、そこにいたヒトがいない。



待っていてくれなかったの?



「サエコさん、お願いがあるんですけど」



「ん? 何?」



だったら、アタシが待っていてもいいだろうか?