山の中腹にあるお堂の中には、二m近くの大きさを誇る仰々しい仏像が祀られている。 村神様の一種とも言われているが、村でこの神様を信仰している人なんて、見たことはなかった。 鍵がかかっていないため、中へ入ることは簡単だったが、昔から伝わる祟りの噂から、子供たちは立ち入ろうとしなかった。 ひんやりとしたお堂の中へ足を踏み入れた途端、背後で閂をかける音がした。 慌てて振り返ると、すぐ間近に礼人君の顔が見えた。