不謹慎ラブソング

「昔ね、絵のモデルをやってくれって、言われたことがあるの」
 

私の言葉に、絵画をやっている礼人君が食いついてきた。


彼のように田舎の暇潰しのための趣味ではなくて、本当に画家を目指している野心溢れる女子が集う部活動のためだった。


そこの部長さんのイメージにぴったりだった私が、急に推薦されたのだ。
 

「でも、それは水着のモデルだった。白色のビキニを着て、美術室の真ん中に立って……大勢の女子生徒たちにスケッチをされるっていう……本当に、恥ずかしい仕事だったの。」
 

描くためには、実物を見なきゃいけないし、モデルが必要なのも充分理解はできていた。


折角頼まれたことを断るのは良心が痛んだし、何より美術部の人たちは殆どが校内の過激派で、思う通りにならないことがあるとすぐに嫌がらせをすることで有名だったのだ。


私は、その役を引き受けるしかなかった。