「------っ煩いほっとけよ！

　俺はもうサッカーやらないんだよ！」

「でも、秀くん！」

「お前とももう何でもないからっ！

　知ってるぜ、中川と付き合ってるってな？」

「だって、あたしたちもう秀くんがカナダ行くことが原因で別れたんじゃない。

　秀くんが行っちゃったあとあたしはいっぱい泣いたんだよ！」

「だから、別に責めてねーって、言ってんだろ。

　ほっといてくれって言ってるんだ。」




あわわっ

やっと追いついたと思ったら、

サッカー部のマネージャーの先輩と痴話喧嘩中…

マズイな…

見つからないうちに、違う道で帰ろう…

くるっと向きを変えて元来た道を戻ろうとすると

しゅうちゃんに見つかっちゃったみたいで、

「彩華！何逃げてんだよ！」

後ろから凍りつくような怖い口調で怒鳴られた。

あはは…と力なく笑いながら、

「と、取り込み中みたいだから…」

と言うと、

つかつかとやって来た秀ちゃんは、

あたしの肩を掴むと

ぐいっと引き寄せた。

「え！」

何が起こったか一瞬わからなかった。

秀ちゃんの顔が視界にいっぱいで、

唇に熱いものを感じて、

それがキスだと気がついたのは、

秀ちゃんが少し視界から離れて、

「目ぐらいつぶれ」

と言った時だった。