あたしって、あの先輩よりずるいかもしれない。

認めたくないって思ってしまった。

期待させないでって思ってしまった。

それって前から好きだと思ってたってことで、あたしの気持ちは友達への想いじゃなかった。

それを見透かしてたからこそ、楓はああ言ったんだ。


『絶対好きになるよ』


楓にはなんでもお見通しだったんだと思って、そして愕然とする。


「泣き止むまで一緒にいてやるから」


ごめんね、ごめんね。

あたしとは話すの楽しいって笑ってくれたのに、やっぱり先輩達と同じ、否それ以上にずるくて酷い人でごめんね。

でも、それを君に言えるほどの勇気はなかった。

きっと叶わないであろう不毛な君への想いに泣いているのだなんてそんなこと言えなかった。

だから余計に、優しい君に縋って、甘えて、騙す狡いあたしに苦しくなって、余計に涙が止まらなかった。


 ずっと無言のまま横にいてくれる君に甘えて暫く泣いたその日。

罪悪感に死んでしまいそうだった。

でも、優しくしてもらえることが嬉しくて、それを咎めるみたいに冬の風は涙が流れた場所を容赦なく刺すようで、痛いくらいに冷たかった。