俺様一途ドンドコドンッ!


俺には愛弓の言いたい意味がわからないから困惑した。

すると愛弓が、星香のように俺の足をまたいだんだ。

「 愛弓?なにしてる!」

愛弓が俯く顔を近づけてくる。

近すぎる距離に、男なら簡単に形勢逆転できるもんだ。

だが、相手は愛弓… 好きすぎる俺には、愛弓を下に敷くなんて今の俺には出来ない。

なぜなら、俺に股がる愛弓が、普段 知っている愛弓じゃないからだ。

愛弓は鼻先が触れ合うところまで近づき、言った。

「 好きーっ!!」

ぅわっ!?

耳がキーンと鳴り、愛弓の叫ぶような大きな声で俺に言った。

「 あ、愛弓… 耳… 」

もう一度と言うつもりが、顔にポタポタと、愛弓から涙が落ちてきた。

愛弓、泣いて…んのか?

「 おい、愛弓!なんで泣く!」

「 うぅっ… だっで!がいどぐんがもうわだじのごどぎらいになったがとおぼっだんだもーっ!!」

「 お、落ち着け 愛弓!さっぱりわかんねぇぞ?息吸えっ な!って、吐くな、吸うんだよ、バカか!」

よけいに泣き気に拍車をかけてしまった。

愛弓の叫ぶ告白はちゃんと聞いたが、なぜか気になる。

嫌われていると思っていたのに…

俺に股がる愛弓を片腕で支えて、体を起こして抱きしめながら愛弓の泣く背中をさする。

「 星香さん… 付き合うの?好きなの?」

「 は? なんで星香?」

「 私 追わないから… やっぱり綺麗な星香さんとって思ったら… そしたら悲しくて… 」

「 逃げるし、追うなって言ってじゃん、だから追わないよう我慢してただけだ!なんで星香とって思うんだよ… 」

星香は関係ない、どんなにそばに来ても俺はなびかない。

まったく、とんだ勘違いだ!

「 でも、海翔くん… 」

ん?なに、なんで口ごもる?

「 追いかけるだけで、私の事… 好きって言われた事ないから… 」

言われてハッとした。

確かに入学以来、ずっと愛弓を追い回してた。

愛弓が好きだからしていた行動だった。

だが、思い返すと俺は愛弓が好きだと一言も言っていない。

俺、バカだっ!肝心な事言わねぇで…
まるでストーカーじゃねぇかよ!

俺は流石に恥ずかしくて、手で顔を覆った。