俺はどうかしている。
愛弓と赤津を間違えて抱きしめるとは…
「 赤津~ お前が俺に触るからだろ!」
「 いや、なんか苦しそうだったから熱かと思ってさ。熱ないね、だから離していいけど?」
「 あ?うおっ、お前が離れろよな!」
「 まったく… 愛弓ちゃんじゃなくて悪かったね 」
フンッ、赤津にはわかんねぇよ…
コンコン、ノックの後に愛弓が手を押さえて入ってきた。
「 愛弓!? 手どうしたっ」
「 海翔くん、赤津くん… ちょっと 厚紙切っててカッターで 」
愛弓の押さえる指から血が滲んでいるのがわかる。
俺は赤津を無視して愛弓のそばへ行ってすぐさま手を取って傷を見た。
なんだよ、けっこうザックリいってんじゃん…
「 海翔くん、あの、平気だから… 消毒と絆創膏で大丈夫だから 」
「 消毒? ああ、なら俺が… 」
パクッと愛弓の指を加えて傷から血を舐め取る。
「 ひゃ!? か、海… つっ… 」
「 ん、いひゃい?」
「 し、染みっ… 」
指を離してやると傷口がハッキリわかるが、ジワッと血が上がってくる。
「 はい、海翔ストップね。愛弓ちゃん、ちゃんと消毒しようか 」
赤津…
「 ありがと… ったぁ!」
「 ああ、染みる? こんだけ切ってれば痛いよね。」
赤津… そんな冷静な…
「 赤津どけ、絆創膏は俺がやるっ」
ったく、それ以上 愛弓に触んなっての!
「 はいはい、妬くなって 」
愛弓が赤津の言葉に赤くなる。
「 赤津~ 俺が妬くわけないだろうが。」
と、そこにうるさい奴が入ってきた。

