「諏訪郡、ですか…」 晴信が地図の上で動かしていた駒を眺めながらミツが呟く。 そして暫くの間じっとそれを見つめていたかと思うと、ふと何かを思い付いたように顔を上げた。 「晴信様。私に一つ考えがあるのですが…口にしてもよろしいですか?」 小さく首を傾げながら晴信を見上げるミツ。 そんなミツに晴信は当然だというように頷く。 それを確認した彼女はとても満足そうに笑った。 そしてその唇をゆったりと動かしながら言葉を紡ぐ。 「諏訪のお嬢様を側室にお迎えしてみてはいかがでしょうか」