彼女たちは、隼世くん本人に言われた事もあってが、私への嫌がらせはピタリと無く、下駄箱に虫もなく無事だった。
それから数日、私はまた日課のように、体育館で隼世くんを見ている。
私だけが知っている隼世くんの優しさ。
「 花帆、また見に来てんだね。飽きないねぇ… いっそ当たって砕けたら?」
「 ひどっ!なんで砕けるって決めるの~ 美岬はいいよ~ 桂木くんといつの間にか付き合ってるしさ、いいなぁ 」
美岬によると単純な話で、私を心配して送って行った優しさに惹かれたらしい。
「 伊原!美岬も。あのさ、伊原、ごめん!俺ちゃんと言ってなかった… 」
ん? 何を?
「 え、まだ言ってなかったの?ダメじゃん!花帆 実はね、あの時 保健室に運んだのは… 」
「 ちょっと、美岬も桂木くんもストップ!なんなの、話が… 」
と、そこへ 危ないっ!と、声がした。
バンッと私の横顔手前に 大きな手が広げられているのが見えた。
え… 手?
見える手の先を見上げると、隼世くんがいて、私の方に飛んできたバスケットボールを制していた。
「 隼世くん、ありがと… 」
「 災難体質?」
へっ!?
隼世くんはコートに戻り、私は呆気に取られながら美岬を見ると、桂木くんが美岬を肩から庇うように引き寄せていた。
「 もう、大丈夫ですけど?いつまでくっついてるのかな?」
ハッと互いに我に戻り慌てて離れる美岬たち。
羨ましいけど、私も隼世くんに庇ってもらったからいいや。
「 伊原、さっきの続きだけどさ、あの時 運んだのは 富来なんだ 」
「 ……え? だって桂木くんが運んでくれたんじゃ… 」
なに、どういう事…
桂木くんは説明してくれた。
私にお礼を言われて言い出しにくくなかったと…
「 花帆、隼世くんカッコ良かったよ~!
すごい勢いで花帆を抱き抱えて保健室行ったんだから。まっすぐ花帆を迷いなくだよ?ほんとカッコ良かったよ~ 見せたかったなぁ 」
そんな… 私の思い違いで勘違いで…
あの時 よけろっ!って言ってくれたのはやっぱり隼世くんなんだ…
「 どう?花帆、告白する気になった?」
私は隼世くんをただ見ていた。
どうしたらいいか わからない。
告白してフラれたら体育館に来て隼世くんを見る事が出来なくなってしまう。

