そんな私の心の声が聞こえたのか、隼世くんが言った。
「 逃げんな 」
「 は、はい!」
なんで~ ダビデ助けてぇ
「 あんたさ、倒れた時の事覚えてないの?」
「 うん、まーったく 」
「 あ、そう… 桂木が助けたとか思ってる?」
「 え、 違うの?」
隼世くんと話しているとパタパタと走る足音が聞こえた。
私が立ち上がろうとすると、隼世くんが私の腕を掴み、そのまま下へと引っ張る。
どうしたのかと隼世くんの顔を見ると、そばに合ったヴーナス像にかけてある布の中へと辛うじて隠れた。
なんですか、これはっ!
バクバクとうるさい心音に、好きだという矢が刺さってくる。
ひゃあ~ 鼻血でる~!!
シッ!と隼世くんが間近過ぎる顔に人差し指をたてる。
カッコよすぎるって~
「 ねぇ、ここなら誰もこないよ」
あれって、隣のクラスの…
「 そうだね。ね、次どうする?」
何話してんだろ…
「 伊原さんの下駄箱になんかいれるのは?男子に虫でも捕まえてもらってさ 」
え…… 私の事? 虫って… じゃあ今までの事は彼女たちが?
私は耳を疑った。まさか… そんな話がされているとは考えもしない。
でも なぜ……
隠れて座っているとはいえ足が震える。
突然、膝前でギュッと握る私の手を隼世くんが大きな手で軽く包んだ。
隼世くん?
隼世くんはスッと布から一人出ていく。
「 隼世くん!な、なんでいるの?ビックリしたぁ 」
「 うるさい、イジメ女 」
あ… 私を庇ってくれた?
「 な!イジメなんて、そんな、ねぇ 」
「 そんな事しないし!隼世くんの誤解だよ!」
「 体育館、来んな 」
冷たっ、私なら泣いちゃうよ…
隼世くんは美術室を出て行ったが、残された彼女たちの無言の空気は張りつめているに違いない。
なぜ私が嫌がらせを受けたのかは理由がわからないが、隼世くんは彼女たちの行動を止めてくれるために出て行った。
嬉しかった…
隼世くんの手の温もりが、まだ私の手をを包んだままのように残っている。

