「でも俺は素のアンタの方がスキだけど。」
「は、はぁ?き、気休めなんて、」
「気休めじゃない。」
やけに真面目な目であたしを見下ろす涼馬。体育館裏の塗り壁に凭れ掛かるあたしは目を泳がせながら涼馬を見上げた。
「変に着飾って猫なで声出すアンタより、バカやって走り回る栞菜先輩の方が俺はスキ。」
「……」
「部長もバカだね。こんな良い女捨てて外見だけの女に走るなんて。俺ならずっと傍に置いとくよ。」
「ゔるざいバカ。何が分かるのよ、アンタにあたしの何が…っ!大して生きてないガキんちょが!結局あたしは振られたんだから!慰めなんか要らない!偉そうなこと言わないでよお…っ…」
「ガキって…
一歳しか変わんないし。
俺からしたらバカみたいに泣きじゃくる栞菜先輩の方がガキだよ。」
またもや泣きじゃくるあたしを涼馬は呆れたように見つめる。あたしだって“あたし”に呆れてる。関係の無い涼馬に当たる自分が、憎くもあり、恥ずかしい。たかが失恋でこんなにも泣きじゃくるなんて恥ずかしい。でも“たかが”と言えないほどに苦しい。
そして、あたしの目線に合わせてしゃがんだ涼馬。
「何ならそのガキから、愛されてみる?」
そのやけに優しい目が先輩とリンクする。
マネに成り立てだった一年の頃。何事も上手く行かず足を引っ張るだけだったあたしは退部する事も視野に入れていた。だけどそのときはまだ部長じゃなかった先輩が優しく励ましてくれたんだ。

